特別インタビューとして、お菓子のふじい様を訪ねました。地元のニセコ愛とお菓子への探究愛に溢れる藤井さんにお話を伺いました。
 

ニセコは菓子づくりの聖地


 ドーナツ、もなか、パイ、大福、ケーキ、カステラ、ソフトクリーム。和菓子と洋菓子の枠を超えたお菓子がずらりと並ぶ。“蝦夷富士”と称される羊蹄山のお膝元にあるニセコエリア・倶知安(くっちゃん)の「お菓子のふじい」が今回の取材先。3代目の藤井千晶社長は自らのことを「マニアック」と語る。その意味を紐解くと、「おいしい」の裏側に詰まっている愛が見えてきた。

 お菓子のふじいを語る上でまず欠かせないのは、「ニセコ愛」である。お菓子の材料は地元・北海道産が中心。優れた素材をどう活かすか?にフォーカスを当てている。「焼きドーナツには、北海道産の小麦粉とてんさい糖、倶知安の新鮮卵が入っています。パイのりんごは余市産。かぼちゃは真狩(まっかり)産。もなかのミルクあんには、喜茂別町(きもべつちょう)の放牧牛乳を使っています。砂糖は白糖よりてんさい糖。油は、製造工程上マーガリンを使用することもありますが、可能な範囲でバターにしています。」

 10代で菓子専門学校に入学するため、上京した千晶さん。地元である羊蹄山の麓は「あずきの名産地」と教わる。さらに、スキーのインストラクターとして長野や新潟のスキー場に出向くと、「ニセコの出身者がなんでここにいるの?ニセコの方が良いよ!」と突っ込まれた。「地元の価値ってわからないもんだな、と思いました。てんさい糖の原料になる砂糖大根(てん菜)も倶知安で採れると知った。離れてみて周りから言われて魅力を知って、こんなに良い土地なら帰るよ!と継がせる気のない両親に直談判したんです。」菓子づくりの聖地・ニセコで、和菓子職人の夫と今日もおいしいお菓子をつくる。

  

3代目社長の千晶さん。和菓子職人の夫たかよしさんと毎朝5時から工房に立つ。

  

素材へのこだわりも相当なお菓子のふじいにとって、ニセコはまさに最適な土地。

 

探求愛がすぎる


 冒頭で述べた「マニアックさ」とは一体どういうことだろう?「マニアックな方向への入口はお客様の食品アレルギーに対応したかったから。お菓子づくりには欠かせない “卵、小麦、乳”を欠いてもおいしいものがつくれることを知ったんです。そのうち、夫が化学物質過敏症になって、体調改善のために行き着いたのが“分子栄養学”でした。」お店を経営しながら分子栄養学アドバイザーの資格を取得し、グルテン(小麦)フリー、カゼイン(乳)フリー、脂質や糖質をコントロールした菓子を次々と編み出した。

 この夏からは、脂質栄養学と添加物栄養学も学んでいる千晶さん。トランス脂肪酸やオーガニックといったトレンド情報を鵜呑みにせず、「実際どうなのか」を深く掘り下げたいと言う。とはいえ、健康志向をウリにする気はさらさらない。「健康の定義は人によって違いますよね。個体差がある。昔、健康志向のお菓子を1万円分くらい買って食べたことがあるんですけど、まぁ美味しくない!(笑)おいしいものを意識せずに食べて、調子がいいなって思えるくらいがちょうどいいんです。」

  

もなかのミルクあんの牛乳は、牧場タカラから。北海道をいただく気分!

 

マニアックな探求が、体に優しいお菓子に。


 「調子のいい状態」と簡単に言うが、それが難しい。緻密な計算と根気強い研究で支えられている。小麦粉、砂糖、牛乳、バター、さまざまな材料の種類と配合を変えてつくっては食べ比べる。出来立てはおいしくて当たり前。今日、明日、明後日、2週間後、1ヶ月後、冷凍を解凍したものを食べ比べる。あらゆる条件でのおいしさを追求している。

  

一見するとわからないが、「小麦不使用」のチョコケーキ。

  

お店からほんの少し車を走らせると、そこは黄金に輝く小麦畑が。

 お客様に「調子のいい状態」はどう伝わっているのか。「食べてもらうと、わかる人にはわかるみたい。胸焼けしない、だるさが出ない、疲れないといったモニター結果も出ています。体調不良の原因がまさかお菓子だとは誰も思わないですよね。食べる人に幸せになってほしいから、体に優しいものをひっそりマニアックにつくっています(笑)。」

 一方で生産者への愛情も忘れない。「小麦、牛乳、砂糖が悪者なんじゃない。お世話になっている小麦農家さんも、牧場さんも大切にしたい。ぜんぶがダメと切り捨てるのではなく、自分なりにいいなと思える着地点を目指しています。」と千晶さん。

 最後に、「お菓子のふじい」のこれからを聞いた。「自分でも“どこに向かっているんだ!?”って突っ込みたくなりますが(笑)、とにかくやってみたい。自分でつくれるし、売れるし、発信もできる。単純にたくさんつくって売るんじゃなくて、できることをコツコツと。これからもこの倶知安でお菓子をつくり続けます。」ふじいのお菓子で、その探求愛を感じてほしい。
 

  

ふじ井「香害ゼロ職場」宣言。下には「時代に合わせてアップデートしていく」との決意も。

   

水の浄水にこだわった和菓子工場を案内してもらった。製造機器も一級品ばかり。

   

楽しく情報発信! 千晶さんのブログにいたっては、なんと2009年から続けている。

 

探求愛が詰まった心と体に優しいお菓子のセット


小麦粉、卵、牛乳、かぼちゃ、りんごまで、とことん北海道産にこだわりました。焼きドーナツは、ふわふわ、ヘルシー。もなかには、甘いミルクあんと相性抜群のちょっとビターなチョコチップが入っています。

お菓子のふじい 道産素材のスイーツ詰め合わせ 
 

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